第12章 薬剤師によるEBM実践と生成AI活用の未来

今日の臨床現場では、薬剤師が処方監査や服薬指導などで患者の治療選択を最新の研究エビデンスに照らし合わせた形で行うEBM(根拠に基づく医療)の実践が求められています[1]。一方で、生成AI技術の急速な進展により、文献検索や要約作業の効率化が可能となりつつあります。ASHPの事例では、AIツール導入によってデータ検索やリスク評価の負担を大幅に軽減しながらも、薬剤師が必ずAIの出力を確認する運用が取り入れられています[2][3]。こうした実践動向を踏まえ、本章では第1章~第11章の内容を総括しつつ、実務導入に向けたガイドライン的視点、教育カリキュラムの展望、今後の制度・ツール・標準化の方向性について論じます。 ガイドライン的視点とワークフロー設計 薬剤師のEBM実践では、ガイドラインの推奨を機械的に適用するのではなく、その根拠の質・強さと適用可能性を検討する姿勢が重要です。たとえば推奨の背景集団や想定外の例外条件(腎機能、併用薬、高齢など)を確認し、個別患者に合わせて判断します。実務導入にあたっては、EBMの5ステップ(疑問設定→情報探索→批判的吟味→適用→評価・改善)をワークフローに組み込むことが考えられます。具体的には以下のようなプロセスが指針となります。 臨床疑問の定式化(PICO/PECO):患者の問題からエビデンス探索の焦点を明確化 情報探索:最適なキーワード・MeSH語でデータベース検索、ガイドラインや高品質レビューの活用 批判的吟味:研究デザインや統計手法を評価し、対象集団やアウトカムの妥当性を判断 患者・現場への適用:患者の価値観や併存疾患を踏まえつつ結果を説明、意思決定に活かす 実施後の評価・改善:介入結果をモニタリングし、プロセスやアウトカム指標で検証・フィードバック これらのステップを共有フォーマット(SBARやSOAPメモ、要約表など)や電子カルテ連携ワークフローに落とし込むことで、現場運用が持続可能になります。 教育カリキュラムへの反映 薬剤師教育においても、EBMとAIは不可欠な要素となりつつあります。実際、ある調査では多くの学生が個人利用で生成AIツールを活用しているものの、約62%が従来型の教授法を好むと回答しており[4]、教育現場にはAI活用と批判的思考育成のバランスが求められています。生成AIは「実験室のツール」として学生の学び方を変革しており[5]、その潜在能力を生かすにはAI技術の基礎、倫理的課題、ツール評価能力、ワークフロー統合法などAI関連の臨床能力を体系的に習得させる必要があります[6]。現状では多くのカリキュラムがAI普及前に設計されており、認定基準にもAI教育の明記はありません[7]。今後は、EBMとAIリテラシーを含む横断的教育プログラムの構築が急務です[8]。たとえばジャーナルクラブや臨床実習の演習にAIツール演習を組み込み、学生自身にAI出力の検証や医療倫理的討論を経験させることが有効でしょう。 モデルカリキュラム例(例示):EBM基礎(統計学・研究デザイン、5ステップ実践)、情報検索技術(PubMed/MeSH検索、二次・三次情報の使い分け)、AIリテラシー(機械学習基礎、AIモデルの性質・倫理)、クリティカルアプレイザル(論文吟味ワークショップ)、実践演習(疑義照会ケーススタディ、患者シミュレーション、AIツール活用演習)などを組み合わせた長期的・段階的なカリキュラム設計。 生成AI活用の安全策と標準化 薬剤師の業務に生成AIを取り入れる際は、利点とリスクの両面を明確に管理する必要があります。生成AIは「もっともらしい」誤情報(ハルシネーション)を出力する傾向があるため[9]、AIが提示した要約内容は必ず原文で検証します。たとえば、出力中の主要効果量、95%信頼区間、p値、追跡期間、対象基準、主要/副次アウトカム、症例除外基準、有害事象定義などを原著論文で確認するチェックリストを作成し運用することが推奨されます[9][10]。またAIによる引用にはPubMed IDや原文へのリンクを付けて透明性を担保し、監査可能な記録とします。さらに、個人情報や機密情報の取り扱いには匿名化・アクセス制御・契約条項順守などのガードレールが必要です。品質保証(QA)の観点では、生成AI支援後の要約正確性、引用整合性、検索再現性、時間短縮効果、検出漏れ率などを指標化し、人間→AI→人間の検証プロセスを確立します。EBM実践とAI活用双方の信頼性は、判断プロセスの可視化と裏付け根拠の提示によって確保されるべきである点は、EBMと説明可能AI(XAI)で共通する考え方です[1][10]。 今後の展望と制度・ツール開発 将来的には、薬剤師EBM実践とAI活用を制度的に支える枠組みが整備されることが望まれます。たとえば薬剤師向けEBM実践ガイドラインやAI利用指針、電子カルテ・情報システムとの連携インターフェースの標準化、AI活用認定研修・資格制度などが考えられます。また、オープンアクセスの医療データベースやサマリー・データベースを拡充し、検索・要約ツールとしての信頼性の高いAIアプリケーションの開発を促進する必要があります。さらに、機械学習研究者やIT企業を含む学際的チームによる共同研究・試行(PoC)を通じて、服薬指導、患者シミュレーション、薬歴記録など具体的ユースケースに即したAIソリューションを検証していくことが重要です。これらの取り組みを通じ、薬局・病棟レベルでのEBMワークフローとAI支援の標準化・共有化が進みます。 以下に、具体例として今後のチェックリスト・モデルカリキュラム・研究課題案を示します。 チェックリスト例: PICO/PECOテンプレート:臨床疑問を組織的に定式化するツール 30秒アブスト評価表:論文抄録から効果量・信頼区間・副次アウトカムを迅速確認 患者説明フォーマット:利益・有害事象・不確実性を整理しやすくする定型表 AI利用時原文確認リスト:要約内の主要アウトカム・追跡期間・AE定義など必須検証項目 モデルカリキュラム例(科目・モジュール): EBM基礎(統計学・研究デザイン、5ステップ実践法) 臨床情報検索(PubMed/JPv等活用、MeSH・キーワード設計) AIリテラシー(AI概論、LLMの特徴、倫理・バイアス・XAI) 批判的吟味演習(医薬論文ワークショップ、事例検討) 臨床実習・ケース学習(疑義照会、AI支援患者シミュレーション、薬歴レビュー) 研究課題例: AI支援型EBMワークフローの臨床効果検証(時間短縮率・アウトカム改善など) 生成AI要約の引用・文献整合性の定量評価 薬局・病棟へのAI導入が薬剤師業務効率とミス防止に与える影響 薬剤師・患者のAI利用受容性と教育ニーズの調査 AIツールのコスト効果分析およびSOP標準化 以上のように、薬剤師のEBM実践は「論文を読む技術」ではなく意思決定プロセスの運用として再設計されるべきです。同時に生成AIは「判断の代替」ではなく、エビデンス探索・整理・文書化を支援する補助ツールとして位置づけられます。今後は薬学教育へのEBM・AI統合、臨床現場へのAI導入研修、制度的枠組みの整備などを通じて、薬剤師が安全かつ効果的にEBMを実践できる体制を構築していくことが求められます[7][2]。 参考文献 [1] [10] EBMと説明可能なAI(XAI)という考え方 – 薬剤師のためのAIノート https://pharmacist-ai-notes.jp/2025/10/30/ebm%E3%81%A8%E8%AA%AC%E6%98%8E%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%81%AAai%EF%BC%88xai%EF%BC%89%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E8%80%83%E3%81%88%E6%96%B9/ [2] [3] AI in Action: Pharmacists Reflect on Innovation-ASHP https://news.ashp.org/news/ashp-news/2025/09/03/ai-in-action-pharmacists-reflect-on-innovation [4] [6] [7] Pharmacy Students’ Perspectives on Integrating Generative AI into Pharmacy Education https://www.mdpi.com/2226-4787/13/6/183 [5] [8] [9] Pharmacy education is shifting in the age of generative AI https://www.pharmacist.com/Blogs/CEO-Blog/Article/pharmacy-education-is-shifting-in-the-age-of-generative-ai ...

January 7, 2026

第11章 薬剤師EBM実践と生成AI活用のこれから:実装ガイドライン・教育統合・展望

薬局や病棟などの現場でEBM(根拠に基づく医療)を継続的に運用するためには、業務プロセスへの組み込みと生成AIの適切な補助設計が不可欠です。まず、業務フローの中にEBM 5ステップ(問診設定、情報収集、批判的吟味、適用、評価)を明確に定義し、それぞれの段階でAIツールを「作業補助」として利用できる体制を整えます。例えば、臨床疑問(PICO)を生成AIで文章化・検索キーワード生成に活用したり、検索語の同義語展開・MeSH候補提示にAIを使ったりすることが考えられます[1]。文献の批判的吟味にはチェックリスト自動生成などで抜けを防ぎますが、必ず原文で検証する工程を設けます。患者説明文や報告書の下書き作成、服薬指導資料の平易化には生成AIを利用し、最終的な編集・吟味は人間が行います。このように「人→AI→人」の協働プロセスを定型化し、プロンプト設計も含めて運用ルール(例:必ずPMID付きで引用)を明文化します[1]。 **EBMプロセス設計:**疑義照会や服薬指導など典型場面で「3分EBMテンプレート」(問い→候補文献→要点→説明案)を導入し、現場で回るフローを作ります。情報共有にはSBAR/SOAP形式や要約メモ、ジャーナルクラブを活用します。 **生成AIの役割:**AIはあくまで「判断の代替」ではなく「作業支援」です。例えば、PICO定式化の補助、検索式のブラッシュアップ、批判的吟味の項目出し、患者説明文の翻訳支援など、各ステップでAIに特化したプロンプトを用意します。一方でAI出力には必ずクリティカル・シンキングで臨み、AIが示した多面的な視点・リスクなどを検討するよう心がけます[1]。 **定期的レビュー体制:**新たに導入したツールやプロセスの効果を評価するため、文献要約の正確性や情報探索の再現性、業務時間短縮効果などの指標を設定し、振り返りを行います。エラー事例を共有し、プロンプトや運用ルールを改善し続けるPDCAサイクルを組み込みます。 図: 薬剤師が服薬指導や調剤で働くイメージ。生成AIはこのような場面での意思決定を下支えするツールとして使われる。 教育カリキュラムへの統合 薬学教育や現任教育においては、EBMと生成AIの両方をカリキュラムに組み込むことが重要です。具体的には、臨床実習や実務実習で対話型AI患者シミュレーションを取り入れ、学生がリアルな患者対応を安全に練習できる環境を作ります。例えば、名城大学では78歳設定のAI患者キャラクターが導入されており、学生の話し方次第でAI患者の反応が変化し、隠れた不安や生活背景が明らかになるなど、会話訓練を通じたコミュニケーションスキル育成に役立っています[2][3]。また、教育用生成AI(ChatGPTなど)の学習モードでは、学生の問いに対してソクラテス式に質問を返すことで思考を深めさせる機能が普及しており、能動的学習を促すツールとして期待されています[4]。 **対話型シミュレーション演習:**薬学部講義や演習でAI患者アバターやVRを使い、服薬指導・疑義照会・緊急対応などのシナリオ演習を実施します。実例として、生成AIを搭載したシミュレーションシステムでは「学生の言葉遣いが冷たければAI患者は心を閉ざし、共感的な姿勢なら隠れた不安を話してくれる」といったリアルな反応が得られています[2]。失敗して学べるVR演習と組み合わせ、対人スキルと実践力を磨きます。 **クリティカル思考とAI倫理教育:**教員研修を通じてAIリテラシーを高め、学生にはAI出力を評価する能力を教えます。ツール使用の前に根拠を吟味する習慣を重視し、「AIが出したから正しい」と盲信しない態度を育てます[5][6]。AI倫理(ハルシネーション対策、プライバシー)も含めた講義をカリキュラムに組み入れます。 **学習支援AIの活用:**生成AIはレポート作成補助だけでなく、学習パートナーとしても活用可能です。教育特化型のAIは学生に応じた出題・ヒントで学習を促すほか、国家試験対策では苦手分野の演習を提案するなど、アダプティブ・ラーニングに適したツールとして機能します[4]。 **継続教育プログラム:**現場薬剤師向けにはCPE(継続教育)にAIリテラシー研修やEBM演習を組み込みます。業務設計担当者や教育担当管理者を対象にしたワークショップで、新ツール・新プロセスの導入研修を実施することも効果的です。 今後の展望(政策・技術・評価) 今後は行政施策・技術革新・評価指標の整備を並行して進める必要があります。まず政策面では、厚生労働省・デジタル庁が推進する医療DX計画において生成AI利活用が明記されており[7]、医療機関向けに先進技術検討会が設置されるなど、AI導入を後押しする動きが見られます。自治体レベルでも、神奈川県ではジェネレーティブAIによる住民健康データ分析基盤が構築され、保健指導の効率化と効果検証に活用されています[8]。 **政策・制度:**国はAIプラットフォームの標準化や法規制の整備を進めており、医療費抑制・医療安全の観点からAI支援の評価体制も議論されています。公的助成や補助金を活用した医療DX促進も拡大しており、薬局・病棟におけるAI導入支援策も期待されます[7][8]。 **技術革新:**技術面では、電子薬歴やレセコンへのAI統合が進展中です。三菱電機デジタルは処方入力の自動化・疑義照会支援などを行うAIエージェント搭載プラットフォームを開発中で[9]、2025年1月からは生成AIによる電子薬歴アシスタントも実用化しています[10]。さらに、大規模言語モデル(LLM)の精度向上により、医学論文やガイドラインの自動要約、レコメンデーション機能が今後急速に高度化すると予想されます。 **評価と安全性:**導入効果の評価には、アウトカム指標とプロセス指標の両面が必要です。要約精度や引用の妥当性、検索再現性、業務効率化(時間短縮)などを定量化し、継続的に検証します。また、医療AIのセキュリティや倫理ガイドラインの策定も重要課題です。例えば、医療AI業界の研究組織ではAI安全性評価スキームの確立やセキュリティ教育の枠組みづくりが進められています[11]。 以上のように、実務フローの設計、教育プログラムの整備、政策・技術面の環境整備を三位一体で進めることが、薬剤師によるEBM実践と生成AI活用の成功に不可欠です。これらの取り組みを通じて、薬剤師がAIを「強力な相棒」として使いこなし、質の高い医療に貢献できる体制を築いていくことが期待されます。 参考資料 [1] EBMの実践に生成Aiを活用するためのグランドデザインを探る|青島周一 https://note.com/syuichiao/n/nee5260ccb677 [2] [4] [5] 〖2026年版〗薬学部教育で導入必須!未来の薬剤師を育てる「AIツール」徹底解説 | ファーマAIラボ https://pharmailab.net/%E3%80%902026%E5%B9%B4%E7%89%88%E3%80%91%E8%96%AC%E5%AD%A6%E9%83%A8%E6%95%99%E8%82%B2%E3%81%A7%E5%B0%8E%E5%85%A5%E5%BF%85%E9%A0%88%EF%BC%81%E6%9C%AA%E6%9D%A5%E3%81%AE%E8%96%AC%E5%89%A4%E5%B8%AB/amp/ [3] [6] Pharmacy education is shifting in the age of generative AI https://www.pharmacist.com/Blogs/CEO-Blog/Article/pharmacy-education-is-shifting-in-the-age-of-generative-ai [7] [8] [11] 〖独自視点〗2025年下半期 医療・製薬業界AIニュースまとめ - メンバーズメディカルマーケティングカンパニー https://www.members-medical.co.jp/blog/medical/2025/1210/10396/ [9] [10] AIエージェント活用したレセコン・薬歴開発へ/三菱電機デジタルイノベーション https://www.dgs-on-line.com/articles/3071

January 7, 2026

第10章 薬剤師によるEBM実践と生成AI活用 ― よくある誤解と落とし穴

薬剤師は、医薬品情報の専門家として根拠に基づく医療(EBM)の実践や、近年注目される生成AI(例:ChatGPT)を活用しながら業務に取り組んでいます。しかし導入の際には多くの誤解や落とし穴があります。本章では、第1~9章と整合させつつ、以下の3点に焦点を当てて解説します:(1)実務導入へのガイドライン(薬局・病棟想定)、(2)教育カリキュラム化(薬学生・新人薬剤師教育)、(3)今後の展望(制度設計およびAIとの共進化)。各章節では誤解例やリスクを指摘しつつ、実践的な対策を示します。 実務導入へのガイドライン(薬局・病棟想定) EBMの誤解と実践 EBMを「エビデンスがあれば必ず従うべき」と誤解しがちですが、本来EBMでは「エビデンス+患者状況+患者の価値観+医療者の経験」をバランスよく考慮します[1]。実務では、標準的な診療ガイドラインやランク付けされたエビデンス(システマティックレビューやRCTなど)を参考にしつつ、患者個別の事情(年齢・合併症・希望・予算など)に照らして適用可否を判断します。例えば、ある治療法にエビデンスがあっても全患者に必須というわけではなく、わざと使わない選択肢も認めるべきです[1]。このように、EBMはあくまで個別化医療のためのツールであり、机上の「画一的マニュアル」としてではなく、臨床上の柔軟な意思決定手法として理解する必要があります。 EBM導入のポイント クリティカル・リテラシーの確立:薬局・病棟ではEBMの5ステップ(質問作成→情報収集→吟味→適用→評価)を理解し、常に新しい知見の更新を意識します。忙しい臨床の中で参考文献を読む時間がなければ、要約済みの二次資料(例えばCochraneライブラリや専門データベース)を活用し、得られた情報を患者に合わせて吟味・適用します[2]。 薬学的介入の活用:処方提案やフォーミュラリー(医薬品目録)の作成など、薬剤師主導でEBMを組み込む仕組みを整えます。例えば、米国では臨床薬学と基礎を橋渡しする教育(アカデミック・ディテーリング)や処方レビューチームの導入が推奨されており、日本でも同様の取り組みが期待されています[3][4]。このように現場からのエビデンス発信や、調剤ワークフローへのEBM導入が重要です。 共同意思決定:患者および医療チームと対話しながら治療方針を決めます。医師や他職種の意見を尊重しつつ、薬剤師自身が最新の根拠を提示できるように準備しましょう。誤解例として「EBMは医者の仕事だ」という声もありますが、薬剤師は薬物療法の専門家として臨床判断に根拠を提供し、チーム医療を支えます。 生成AI活用の誤解と留意点 万能視の危険:ChatGPTなど生成AIは便利ですが、必ずしも正確とは限りません(「Hallucination」と呼ばれる虚偽生成リスク)。薬学分野での検証では、ChatGPTの回答精度は50%程度と報告されており、薬剤情報センターの回答には及びません[5]。実際、あるAIツールは抗てんかん薬の用量調整に関して誤った情報を示し、既存文献と真逆の解釈をしていました[6]。このような誤情報を鵜呑みにすると医療判断を誤るため、AI出力は必ず薬学文献やデータベースで裏付けましょう。 人間の監督必須:現時点ではAIはあくまで補助ツールであり、治療決定は最終的に人間が行うべきです[7][8]。例えばASHP(米病院薬剤師協会)も、AI結果の検証とヒューマンオーバーサイトを強調しています[9]。導入時には、薬剤師同士や上司のレビュー体制を整え、AI生成コンテンツを確認・訂正する習慣を徹底しましょう。 データプライバシーと安全性:診療情報や個人データをAIに入力する際は特に注意が必要です。クラウド型AIでは利用規約や保護基準を確認し、必要なら匿名化や社内システムのみで完結する体制を整えます。またAIモデル固有のバイアス(非代表的な学習データに起因する偏り)を認識し、特定患者群への適用には慎重になる必要があります[10]。 以上のように、EBMも生成AIも適切に導入すれば業務改善に役立ちますが、多くの誤解があることを認識し、慎重に運用することが求められます。 教育カリキュラム化(薬学生・新人薬剤師教育) EBM教育の現状と課題 近年、日本の薬学教育モデル・コアカリキュラムにもEBMの重要性が明記されています[11]。しかし現状では講義中心で実践演習が不足しており、「演習・実習機会の不足」「教員の教育スキル不足」などが指摘されています[12]。教育現場では、PBL(問題基盤型学習)やジャーナルクラブを通じてEBMのステップを体感させる取り組みが求められます。例えば、調剤薬局や病棟で実際にEBMに基づいた課題解決に挑む臨床実習を増やすことで、薬学生が情報収集・批判的吟味・適用の一連プロセスを身につけることができます。 生成AIリテラシー教育の強化 AI活用も同様に、教育プログラムに組み込む必要があります。基礎段階ではデータ品質・アルゴリズムバイアス・情報検証法などの概念を講義や演習で学ばせます[8]。さらにJohnsonらの提唱する「Curricular Bridges」の考え方のように、指導教員や先輩の監督下でAIツールを実際に使わせる体験型学習を導入します[13]。具体的には、臨床実習(APPE)にAIによる診療支援ツールを持ち込み、その結果をフィードバックしながら評価する演習が有効です[13]。またプレセプター教育も重要で、指導薬剤師は学生や新人に対してAI出力の限界や検証手順を教え、ただ情報を受け入れるのではなく批判的に検討する姿勢を育てます[14]。これにより、実践的なEBM・AIスキルが薬学生・新人薬剤師のカリキュラムに定着しやすくなります。 継続教育としての組み込み 新人薬剤師や現場薬剤師にも研修機会を設け、EBMとAIの学び直しを推進します。学会や病院内セミナーで症例を用いたEBMワークショップやAI活用の実習を開催し、職場全体で知識を共有・更新する仕組みを作りましょう。これにより、現場で「学びの循環」が生まれ、EBMとAI活用への理解とスキルが広がっていくことが期待されます[3][8]。 今後の展望(制度設計とAIとの共進化) 薬剤師の役割拡大と業務変革 AIとEBMは薬剤師の業務を単純化すると同時に、新たな専門性を要求します。生成AI導入により調剤チェックや在庫管理など定型業務の効率化・自動化が進む一方、薬剤師は患者への服薬指導やクリニカルサポートなど対人業務に注力できるようになります。Hamishehkarらのレビューでは、AIは医薬品の管理最適化や薬剤の安全性向上に貢献し、薬剤師の業務負担軽減とケアの質向上をもたらすと報告されています[15]。この潮流を踏まえ、薬剤師にはAIツールの開発・評価にも積極的に関与し、現場の知見を反映させる責任が求められます。 規制・ガバナンスの整備 AI活用に伴うリスク管理や制度設計も急務です。生成AIは「ブラックボックス化」や責任所在のあいまいさなどの課題を抱えており、既存の医療規制では対応しきれない部分があります[16]。そのため、医療現場ではAI利用の基準や監査制度(説明責任の確保)、データ保護ルールの整備が必要です。例えば、ASHPとAPhAも声明で人間による検証と透明性の重要性を強調し、薬剤師がAI導入を牽引するよう促しています[9][17]。こうした指針を参考に、国や医療機関レベルで「AI支援薬剤業務」のガイドラインを策定し、薬剤師が安全に技術を活用できる体制を作りましょう。 共進化のための教育・研修体制 最後に、医療制度全体で生涯学習の視点を持つことが重要です。AIは急速に進化する技術であり、一度の教育で済むものではありません。今後は継続教育・資格更新の場でもAIリテラシー(モデルの性能評価、倫理、ガバナンスなど)が扱われるでしょう。薬局薬剤師・病棟薬剤師・教育者・管理者が連携し、最新情報を共有するネットワークやワーキンググループを構築することも望まれます。これらの取り組みにより、薬剤師とAIは補完関係を築きつつ、ともに薬物療法の質向上を目指して進化していくことが期待されます[15][18]。 以上、EBM実践と生成AI活用には数多くの誤解や落とし穴があるものの、それらを正しく理解し対策を講じれば、薬剤師の業務はより効率的かつ安全になります。薬剤師は今後も臨床知識と技術を絶えず磨きながら、EBMとAIの相乗効果で患者ケアの向上に貢献していくべきです。 参考文献 [1] [2] 〖Doctor’s Opinion〗いま再び正しくEBMを | 民間医局コネクト https://connect.doctor-agent.com/article/opinion201611/ [3] [4] [11] [12] 実践的なEBM教育を進めていくには https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjphe/6/0/6_2022-035/_html/-char/ja [5] [6] [7] [8] [9] [13] [14] [17] [18] Artificial Intelligence as a Drug Information Resource: Limitations and Strategies to Optimize in Pharmacy Practice - PMC https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12463875/ [10] [16] Ethical and practical challenges of generative AI in healthcare and proposed solutions: a survey - PMC https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12665710/ [15] Impact of Artificial Intelligence on the Future of Clinical Pharmacy and Hospital Settings - PMC https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12560970/

January 7, 2026

第3章 薬剤師におけるEBM実践の現状と障壁

EBMの重要性は認識されているが実践は広がっていない現状 Evidence-Based Medicine(EBM)は医療の質を高める必須の考え方ですが、薬剤師の日常業務にはまだ十分に浸透していないのが実情です[1]。提唱から四半世紀が経過した現在でも、日本の薬剤師でEBMを使いこなしているのは大学病院など一部に限られ、多くの薬剤師はEBMを「重要だとは思うが実務でどう活かせばよいか分からない」という段階に留まっています[1]。実際、宮城県の薬剤師を対象とした調査では85%以上が「臨床試験論文を読む習慣がない」と回答した一方、8割超が「業務遂行上、論文を読む必要性がある」と感じていました[2][3]。つまり、多くの薬剤師がEBMの重要性自体は認識しながらも、それを日々の業務に落とし込めていない現状が浮かび上がります。 実務でEBMを阻む主な障壁 では、なぜ重要性を理解しながらもEBMを実践できないのでしょうか。現場の薬剤師が直面する主な障壁には次のようなものがあります: 時間的制約 調剤や病棟業務に追われ、文献を探して熟読する時間が確保できないことが最大の障壁です。前述の調査でも、論文を読まない理由のトップは日米ともに「時間がない」でした[4]。多忙な日常業務の中で腰を据えて文献検討する暇がないという現場の声は根強く、実際日本の薬剤師の約4割が「文献を読む時間がない」と回答しています[5]。これはEBM実践への高い意欲があっても、物理的な時間不足が大きな足かせになっていることを示しています。 情報アクセスの困難(言語の壁を含む) 必要なエビデンスに迅速にアクセスできない環境も障壁です。例えば勤務先に学術データベースや文献への十分なアクセス権がない場合、情報収集に手間取ります。また日本では、臨床に影響を与える主要論文の多くが英語で書かれているため、英語の文献を読むこと自体が大きなハードルです[6]。実際、先の調査では日本の薬剤師の22.5%が「言語の問題」を論文を読めない理由に挙げています(米国では0%)[6]。このように言語・情報面でのアクセス障壁により、必要な根拠にたどり着けないケースが少なくありません。 教育・研修体制の不備 EBMを実践するためのスキル習得の機会不足も深刻な課題です。日本の薬剤師の3割以上が「論文を批判的に読むことができない」と自己評価し、6割以上が「論文の読み方を学んでこなかった」と回答しています[7]。これは裏を返せば、大学教育や卒後研修において十分なEBM教育が行われてこなかったことを示唆します。[8]にもあるように、日本の薬学部では「臨床論文の検索・読解・活用法」に関する教育が必ずしも十分でなく、その不足が現場で『どう論文を読めばよいか分からない』薬剤師を生んでいると考えられます[8]。また職場内研修やOJTでEBMに触れる機会が少ないこと、身近にロールモデルとなる先輩がいないことも、現場でEBMが根付かない一因でしょう。 保険薬局と病院薬剤部:業務環境の違いによるEBM実践の難しさ EBM実践の障壁は、薬剤師の勤務する業態によっても様相が異なります。保険薬局(調剤薬局)と病院薬剤部では業務環境や求められる役割が異なるため、EBMを取り入れる上でそれぞれ独特の課題があります。 まず病院薬剤師は、チーム医療の一員として医師や看護師と連携しながら業務を行います。診療ガイドラインの策定や処方設計への関与、患者ごとの薬物療法提案など、病院では薬剤師がEBMを活用できる場面が比較的多く、実際に大学病院や大規模病院では日常的にEBMを実践している薬剤師も少なくありません[9]。病棟業務では患者の臨床データや検査値に基づき、最新エビデンスを踏まえて処方提案や投与設計の確認を行う機会があります。また病院では図書室やオンラインジャーナルへのアクセスが整備されている場合も多く、院内勉強会や薬剤部内のカンファレンスで文献検討をする文化が根付いているところもあります。そのため病院薬剤師はEBMを実践しやすい土壌がある半面、業務範囲が広く専門知識も高度に求められるため、EBMを使いこなすには相応の努力と時間確保が必要です。忙しい当直業務や委員会業務の合間を縫って文献検索・吟味を行うことは容易ではなく、「理想は高いが現実には手が回らない」というジレンマを抱えがちです。 一方、保険薬局の薬剤師は地域の患者さんに日々向き合い、処方せん調剤と服薬指導を中心とした業務を行います。門前の医療機関から持ち込まれる処方せんを短時間でさばきつつ、患者対応も並行する忙しさの中で、その場で文献を調べ直す余裕はほとんどありません。また一人薬剤師体制や少人数で営業している薬局も多く、職場内で専門知識を共有したり相談したりする相手が限られることもあります。こうした環境では、EBMの必要性を感じつつも「調剤をこなすだけで精一杯で、新たなエビデンスを探求する時間がない」という状況に陥りやすいでしょう。さらに処方提案や疑義照会の場面では、医師に対してエビデンスを根拠に意見を述べる必要がありますが、医師とのコミュニケーションが主に電話やFAXを介して行われる保険薬局では、限られた情報と時間でエビデンスを示す難しさがあります。例えば重複投与やポリファーマシーの是正を提案したくても、裏付けとなる文献を即座に示せないともどかしさを感じることも少なくありません。 このように、病院薬剤部と保険薬局ではEBM実践のハードルの性質が異なります。病院では比較的アクセスと機会に恵まれるものの時間的・専門的負荷が重く、保険薬局では患者対応に追われ情報収集の機会が乏しいという対照的な状況です。しかし共通しているのは、いずれの現場でもエビデンスに基づく判断が患者ケアの質向上に直結するにもかかわらず、その実践が業務上の種々の制約に阻まれている点でしょう。たとえばポリファーマシーの適正化は病院退院時のみならず地域薬局での服薬管理でも重要ですが、エビデンスに基づき「この薬は継続必要性が高く、こちらは中止可能」と評価するには調査と検討が欠かせません[10]。また処方監査で疑問点を発見しても、それを裏付ける根拠を示して医師に提案できなければ改善にはつながりません。病院・薬局を問わず、薬剤師がエビデンスを活用できる場面は確実に存在しており、その期待も高まっているからこそ[10]、上述した障壁を乗り越えていく工夫が求められているのです。 障壁を克服するための工夫:テンプレート化・分担・標準化 限られた時間と資源の中でEBMを実践していくためには、業務フロー自体に工夫を凝らし「続けられる仕組み」を作ることが重要です。ここでは、テンプレート化・分担・標準化というキーワードを軸に、現場で実践可能な具体策を考えてみます。日々の調剤業務に少しずつでも組み込めれば、障壁を低くしつつEBMを習慣化する助けになるでしょう。 臨床疑問のテンプレート化(PICO活用) 漠然とした疑問も、PICO(Patient/Problem, Intervention, Comparison, Outcome)のフォーマットに当てはめて整理することで答えを見つけやすい具体的な課題に落とし込めます。例えば「心不全に一番良い治療は何か?」という漠然とした問いよりも、「高齢の収縮期心不全患者にACE阻害薬を投与するとプラセボに比べ死亡率は低下するか?」といった形に具体化する方が、必要なエビデンスを絞り込めます[11]。あらかじめPICOの項目を書き出せる質問テンプレートを用意しておけば、新たな疑問が生じるたびに要点を整理し、効率的に文献検索へ移ることができます。PICOテンプレートは医療情報の授業や実習で推奨されており、EBMの第一歩である「問いの定式化」を素早く行うのに役立つツールです。 疑義照会支援メモ・フォームの活用 処方内容に疑問が生じた際、医師への疑義照会を迅速かつ的確に行うためのひな型やメモを用意しておくことも有効です。電話連絡前に要点をメモに整理し、代替案となる薬剤やエビデンスの裏付けも調べておくのが望ましいとされています[12]。例えば「処方意図の確認事項」「提案したい変更内容」「引用するガイドラインや文献」など項目立てした照会シートを用意し、日頃から入力・記載に慣れておくとよいでしょう。実際に地域によっては共通の疑義照会FAX様式が整備されている例もあり、フォーマットを標準化しておくことで伝達漏れを防ぎつつ時間のロスなく照会を行えるメリットがあります。事前に根拠となるデータや代替薬の情報を押さえた上で照会に臨めば、医師との建設的な議論につながりやすく、結果的に患者にとって最適な処方の実現に近づくでしょう。 服薬指導用エビデンス文例集の共有 忙しい調剤現場でも患者一人ひとりに質の高い説明を行うため、エビデンスに基づいた定型的な説明文例を用意しておくことも有効です。例えば「この薬を飲み続けると将来○○の発症リスクが△△%低下することが示されています」や「副作用の発現率は○人中×人程度と報告されています」といった具体的な数字やエビデンスを織り交ぜた説明文をあらかじめ作成・共有します。世の中の臨床論文には日々の服薬指導に活かせるエビデンスが埋もれており、それを掘り起こして指導内容の裏付けに役立てる試みも始まっています[13]。エビデンスに裏打ちされた説明を患者に提供すれば、患者の納得感や服薬アドヒアランス向上にもつながります。電子薬歴システムの定型文機能にこれら文例を登録しておけば、短時間で的確な説明を書き出すことができ、指導の質と効率を同時に高められるでしょう[14]。 エビデンス収集・評価業務の分担と共有 EBM実践を個人の努力だけに任せず、チームで分担・協力して行う仕組みも重要です。例えば薬局内で定期的にジャーナルクラブ(論文抄読会)を開催し、メンバーが交代で興味ある論文を要約・批評して共有する取り組みは有効です。実際、インターネット上では薬剤師有志が集まりSkypeで論文抄読会を行い、それを音声配信する「薬剤師のジャーナルクラブ」が2013年に発足しています[15]。この取り組みは「どうすればEBMのハードルを下げられるか」という議論から生まれたもので、参加者がお互いに学び合いながらエビデンス活用スキルを高める場として機能しています[15]。職場内でも、専門分野ごとに文献検索の担当を割り振り情報収集を分担したり、得られた知見を簡潔な要約メモにして共有(標準化)したりする工夫が考えられます。こうしたテンプレートの活用、タスクの分担、情報の標準化によって、個々の薬剤師の負担を軽減しつつEBM実践を「チームとして継続できる仕組み」にすることが可能になります。 教育・研修体制への提言 現場レベルの工夫と併せて、薬剤師の教育課程や研修体系全体を通じてEBMを重視する改革も欠かせません。まず大学教育においては、6年制薬学課程の中で文献検索・批判的吟味・患者への適用といったEBMの基本ステップを体系立てて習得させる必要があります。実際、令和4年度改訂の薬学教育モデル・コア・カリキュラム(案)では「医療現場におけるEBMの実践」が明確に盛り込まれ、学生が臨床現場で根拠に基づく薬物療法を実践できるよう大学と現場が連携して教育することが謳われています[16]。座学だけでなく実務実習や演習科目でEBMの手順を反復練習し、卒業時に基本的なEBM実践能力を身につけられるようなカリキュラム設計が望まれます。 卒後研修や継続教育の場でもEBMを習熟する機会を充実させることが重要です。病院薬剤師向けには、卒後臨床研修プログラムの中に文献抄読会や治療ガイドラインの検討会を組み込み、若手が先輩とともにEBM思考を鍛えられる場を設ける動きが見られます[17]。地域の保険薬局においても、地域薬剤師会や大学が主催するEBM研修会への参加を促したり、オンラインで参加できる勉強会を案内したりするなどして、個々の薬剤師が継続的に学べる環境を整える必要があります。先述の「薬剤師のジャーナルクラブ」のようなオンラインコミュニティは、地理的な制約を超えて多くの薬剤師にEBM学習の機会を提供する好例です[18]。また各職場でエビデンス共有の文化を育むことも大切です。例えば新しい知見や興味深い論文を見つけたら薬局内の回覧やチャットで紹介し合う、研修で学んだことをスタッフ間で報告し合う、といった知識の共有を奨励する風土づくりがEBM定着の鍵となります。管理薬剤師や経営者の立場からも、勤務時間内に情報収集や研修に取り組むことを奨励・評価する仕組みを用意するなど、現場薬剤師が安心して学べる労働環境を整備することが求められるでしょう。 次章へのブリッジ:EBM実践のステップへ この章では、薬剤師がEBMを実践する上で直面する現状の課題と、それを乗り越えるための工夫について述べました。時間や情報への制約は依然大きいものの、テンプレートの活用やチームでの分担、そして教育体制の強化によってEBMは「現場で続けられるもの」へと近づいていきます。重要なのは、小さくてもできることからEBM思考を日々の業務に組み込んでいく姿勢でしょう。 では、具体的に薬剤師はどのようにEBMを実践していけば良いのでしょうか。次章では、EBMの基本となる5つのステップ(Ask, Acquire, Appraise, Apply, Assess)を薬剤師の業務に即して解説していきます[19]。臨床疑問の立て方から文献検索のコツ、論文の批判的吟味のポイント、患者への適用方法、そして実践の振り返りまで、EBMサイクルを回す具体的な方法を一緒に確認していきましょう。EBMという武器を日々の現場で活かすために、まずは次章でEBM実践のプロセスを一つひとつ紐解いていきたいと思います。[19] 参考文献 [1] [9] [10] [18] EBMを身近なツールに|薬事日報ウェブサイト (https://www.yakuji.co.jp/entry54034.html) [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [15] インターネット上でのEBMスタイル臨床教育プログラム (https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjphe/4/0/4_2019-022/_html/-char/ja) [11] [19] Evidence-Based Medicine for Pharmacists — tl;dr pharmacy (https://www.tldrpharmacy.com/content/evidence-based-medicine-for-pharmacists) [12] 薬剤師必見!疑義照会のポイントと例文を交えた記録の書き方を紹介|薬剤師求人・転職・派遣ならファルマスタッフ (https://www.38-8931.com/pharma-labo/skill/reference.php) [13] 論文で探る服薬指導のエビデンス|連載企画|医師向け医療ニュースはケアネット (https://www.carenet.com/pharmacist/hukuyakushidou/cg002152_index.html) [14] 電子薬歴の定型文機能のメリットとは? (https://www.e-medicationhistory.net/knowledge/temprate.html) [16] 資料2_薬学教育モデル・コア・カリキュラム(案) (https://www.mext.go.jp/content/20221124-mxt_igaku-0003.pdf) [17] プログラム・日程表 | 第10回日本薬学教育学会大会 - Confit (https://pub.confit.atlas.jp/ja/event/jsphe10/content/program)

January 5, 2026